農業を始めようと思ったときに、
なによりも必要になるのはお金です。
農業を始めるのは、起業をするのと同じ。
自治体の窓口に相談に行って、
「農業を始めたいんですけど、いくら必要ですか?」
と聞くと
「最低でも400万円は準備してね」
といわれます(自治体によって異なるとは思いますが)。
人によっては1000万円以上の自己資金として準備するそう。
ぶっちゃけそんな金ないですよね?
とくに私みたいなアラサーの会社員には
1000万円の貯金なんてありません...。
でも、そんな人でも農業を始める際に利用できるのが、
「農業次世代人材投資事業」です。
農業次世代人材投資事業とは、
農家になろうとする人が、
その準備や経営開始のために必要となる資金を
国から助成してもらえるというありがた〜い制度です。
ありがたや〜。
ところが、2020年度からその要件が変わりました。
端的に言うと
「世帯所得600万円超えてる人は、基本的にお金出さないからね!」
ってこと。
ええ〜!!それは困るよ〜。
だって夫婦共働きの家庭なら
世帯で所得600万円超える人なんてザラにいますよ?
でも、どうやら例外もあるらしくーー。
どうやったらお金がもらえるのか?調べてみました。
1 農業次世代人材投資事業とは
次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修を後押しする資金(準備型(2年以内))及び就農直後の経営確立を支援する資金(経営開始型(5年以内))を交付します。
農水省HPより
農業次世代人材投資事業には、
「準備型」と「経営開始型」の2種類があります。
「準備型」とは
就農に向けて必要な技術等を習得するため に研修を受ける者に対し、資金を交付
【交付対象者】就農予定時に49歳以下の者
【交付額 】研修期間1年当たり150万円(交付対象となる研修期間は最長2年間)
「経営開始型」とは
次世代を担う農業者となることを目指し、 独立・自営就農する認定新規就農者に対し、資金を交付
【交付対象者】独立・自営就農時に49歳以下の者
【交付額 】1年当たり最大150万円 (最長5年間)
つまり、49才以下で新規就農しようとする人は
年間150万円×最大7年=1050万円
を交付して貰えるんです。
これを利用しない手はない!
と言いたいところですが、交付には条件があります。
2 年収600万円超えたらだめなの?
それでは、交付要件について確認していきましょう。
「準備型」の交付要件
1 独立・自営就農(※1)又は雇用就農又は親元就農(※2)を目指すこと
2 都道府県等が認めた研修機関等で概ね1年以上か つ概ね年間1,200時間以上研修を受けること
3 常勤の雇用契約を締結していないこと
4 原則、前年の世帯(親子及び配偶者の範囲)所得 が600万円以下であること
5 研修中の怪我等に備えて傷害保険に加入すること
※1 就農後5年以内に認定新規就農者又は認定農業者にな ること
※2 就農後5年以内に経営を継承すること(法人の場合は共 同経営者になること)
「経営開始型」の交付要件
1 独立・自営就農する認定新規就農者であること
2 経営開始5年目までに農業で生計が成り立つ実 現可能な計画であること
3 経営を継承する場合、新規参入者と同等の経営 リスク(新規作目の導入など)を負うと市町村長に 認められること
4 人・農地プランに中心経営体として位置付けられ ている、又は農地中間管理機構から農地を借り受 けていること
5原則、前年の世帯所得が600万円以下であること
お分かりの通り、
「原則、前年の世帯所得が600万円以下であること」
とバッチリ書いてあります。
でも、待ってください。
ここにはあくまでも「原則」と書いてあります。
つまり「例外」もあるのです。
3 場合によってはお金が貰えるらしいよ!
2020年8月12日付日本農業新聞(https://www.agrinews.co.jp/p51614.html)
この「600万円以下」の要件については、
現場から落胆と混乱の声が寄せられているようです。
そこで農林水産省は「例外措置」を設けています。
研修計画の承認申請時において、前年の世帯(本人の ほか、同居又は生計を一にする別居の配偶者、子及び父母が該当する。以下 同じ。)全体の所得が600万円以下であること。ただし、600万円を超える場 合であっても、生活費の確保の観点から支援対象とすべき切実な事情がある と交付主体等が認める場合に限り、採択を可能とする。交付主体は生活費の確保の観点から支援対象とすべき切実な事情があると認めた根拠及び考え方 を整理し、国から照会があった場合は提示すること。
令和2年度実施要綱(別記1)第五「農業次世代人材投資資金の交付要件等」より
新規就農を目指す人にとってネックになるのは、準備期間中の生活費。
一時的に収入がゼロになるわけですから、まさに「切実な事情」があるのです。
この切実な事情の「根拠」を交付主体である都道府県などに説明できれば、
世帯所得600万円を超えても交付可能ということ。
じゃあ、一体どんな「根拠」が「切実な事情」なのか?
というのは現場の判断に委ねられています。
2020年度から加えられた要件なので、前例もなかなか見つけられないとは思いますが、
多少の希望は持てそうですね。
4 まとめ
今年度から始まり、波紋を呼んでいる「年収600万円」の要件。
わたしも2021年度に
農業次世代人材投資事業の準備型を申請をするつもりだったので
正直どうしたらいいのか悩んでいます。
就農希望先のA町では「『根拠』があれば申請可能だよ」と
前向きに話してくれてますが、その「根拠」をどうしたものか......。
今年度の情勢を見つつ、
実際どうしたのかは、また記事にまとめたいと思います!
それでは!
<参考>
農林水産省HP